エッセイ

拝啓、AbemaTV様

突然のお便り失礼いたします。私、株式会社ookamiでマーケティング統括をしております安部昌乗(あべまさのり)と申します。

先程朝青龍を押し出したら1000万円をTwitterで見かけたため、居ても立ってもいられず、この文章を書いている次第です。

対戦者募集概要には「メールを送ってください」と書いてありましたが、メールという体裁では僕の「勝負に挑みたい理由」が存分に表現仕切れないと思い、この度ブログという形式にさせていただきました。

以下、ご一読頂けますと幸いです。

①名前:安部昌乗(あべまさのり)

②年齢:28歳

③住所: –

④職業:ベンチャー企業取締役

⑤身長:185cm

⑥体重:80kg

⑦アピールポイント:
そこそこの身長、そこそこの体重、けっこう悪い視力

⑧勝負に挑みたい理由:
この企画を見た時に、思い出した出来事があります。
あれは、僕が小学校6年生の時です。

冬休みに学校の力自慢が集まり、市の小学校相撲大会に出る機会がありました。
当時から身長の大きかった僕は、上背を買われ、メンバーに選出されました。

大会に向けての練習は苦痛以外の何ものでもありません。
練習がキツいのは当然のこと、僕は人を投げ飛ばすのが出来ませんでした。

人を投げ飛ばすとその人を傷つけてしまう。当時の僕は優しすぎたのです。

練習では同学年の子だけでなく、1歳下の子にも負けてしまう。
でも、大会は5人の団体戦だから、僕も出なければならない。
誰の目から見ても、そして誰よりも僕が自分の負けは見えていました。

大会当日、僕は2番手に任命されました。

1回戦、相手は3人しかおらず、1番手、3番手、5番手のみ取り組みを行いました。
僕は不戦勝でした。

そして、いよいよ決勝戦(僕の市は人数が少なく、2回勝てば優勝です)
相手は、相撲部のやつらでした。

まず、体格が違う。
そして、僕達は体操服、相手はふんどし。

「こいつら、本気やないか」

誰の目から見ても、そして誰よりも僕がツッコミを入れていました。

僕らの1人目はエース谷口君。

谷口君は、背が小さいが、誰よりも力があり、そしてスピードもある。
取り組みは、持ち前のスピードを活かしふところに潜り込むと、そのまま押し切り。
相撲部から早くも1勝を取ったのです。

当時は、まだ体罰に寛容でした。
負けたやつが、先生に頭をはたかれていました。

寒空に鳴り響く、そのけたたましい破裂音は、僕らの胸に

「こいつら、本気やないか」

そう刻ませるには、十分すぎる音量でした。

2人目は、いよいよ僕の番です。
相手は、僕と同じ位の高さですが、横の幅が2倍ほどあります。

練習の時に相手となってくれたどの大人よりも立派すぎる体格に、僕は早くも諦めムードでした。

ただ、僕は勉強が出来ました。そして、皮肉にもその高い計算力から、この結論が導き出されました。

「別に俺が負けても、一勝一敗になるだけだから、全然問題なくね?」

真理とは、さもシンプルなものか。あとは、相手に押し倒された時に、下の砂でずっさぁ〜ってなって怪我をしないようにするだけです。

そして、いよいよ取り組みです。行司の方が通りの良い声で

「みあって、みあって。。。はっきょいのこった!!」

僕はその瞬間の心の動きを今でも鮮明に覚えています。ほんのコンマ何秒前まで、負け方だけを気にしていた僕が

「こいつ、絶対ぶっ倒してやる!!!!!!!」

心、体、気力、全てが戦闘力マックスになったのです。

そして、相手とがっぶりよっつになった後、ただ相手を力強く押しただけ。それだけで、相手を負かすことができました。

あの練習で全く勝てなかったあの僕が、本番、相手は相撲部という中で、奇跡的な勝利。味方は大いに盛り上がりました。

2連勝を飾った我々は、その後特に見せ場もなく3連敗をし、準優勝で終わりました。

絶対に相手を倒すんだ。そんな強い気持ちを僕が持ったのは、あの時が最初で最後でした。
でも、それには明確な理由があります。ただ機会がなかっただけです

大晦日、朝青龍と対峙した時、

僕はこの世の誰よりも強い男になるでしょう。

⑨写真

お忙しい中、ご一読いただきまして、誠にありがとうございました。